2011/11/06

PBP2011 Stage13_5:必殺のダブルメイン

  目が覚めた。時計を見ると3時、予定していた時間より1時間早い。
仮眠所内では皆が眠れるようにアラームを鳴らすことは禁止されている。目覚まし無しでよく起きれたものだ、疲れすぎていて深く眠れていないのかもしれない。

  もう一度寝てスタッフが起こしに来ないというトラブルにあったら大変なため、起きて準備をする。
外に出ると雨は止んでいた。
岩本さんらも丁度起きてきてサンダーストームをやり過ごせた幸運に感謝する。

  昨晩の雨は酷かったらしく、ルデアックを出発して10kmほどの地点で耐えかねて引き返していった人もいたと聞く。何人かの日本人もこの雨にやられてリタイアとなった。多少の雨なら皆慣れたものとはいえ、夜間の豪雨は体に響く。
  今回のPBP、この雨の中を走ったかどうかで難易度がかなり違ったはずだ。我々は本当に幸運だった。

□8/23 3時50分。 St Nicolas du pelem(仮眠施設)出発。

  数百m先の何か大きな建物?の軒下にはサバイバルシートに包まったシカバネがゴロゴロしていた。仮眠所で寝ればいいのに満室だったのだろうか。屋根があるとはいえあの雨では役に立たなかっただろうに。

  この仮眠所に6時間いたことになるが、食事してシャワー浴びてでそんなに寝れていない。睡眠は3時間ほど。それでも眠気はだいぶ回復し、テールランプの光を見ても(そんなに)眠りへと引き込まれない。

  …と思ったけど1時間も走るとまた眠くなってきた。まいったな、起きてすぐに眠いだなんて。
道の横に座り、15分程寝る。次のPCまではあと10kmなんだ。せめてそこまで行って休んで、明るくなれば眠気も無くなるはず。

■8/23 5時30分。525km地点、 Carhaix(第5PC)到着。


  正直言ってこのPCでのことはあまり覚えていない。暗闇の中到着し、


  中に入ると凄い湿気。雨の中走ってきた者も多いのだろう。


  確かコーラとパンを買ったように記憶している。食べたものの写真は普段撮っているのだが、ここの写真は無かった。テーブルに座るとそのまま寝てしまったらしい。起きたら7時半、2時間近く経過していた。
  18時スタートだとこのPCのクローズタイムは7時。なんとクローズタイムを30分過ぎている。18時50分スタートなので20分余裕があると思うが、まあいつの間にかギリギリの戦いになってしまったことは間違いない。どこをどう間違えてこんなPBPになってしまったのだろうか?ツールドヨーロッパの中休み気分だったはずなのに。

  クローズを1時間くらい過ぎていても取り返せる自信は、、うーんこの眠さだとヤバいかも。

□8/23 7時30分。Carhaix(第5PC)出発。

  流石にこれだけ寝れば大丈夫だろう。大丈夫だ、疲れてなんかいない。
どう思おうが気だるさが体を支配し、速度は25km/h程度から上がらない。
  今年は殆ど長距離走ってなかったんだっけ。名古屋600kmも途中のホテルで十分寝たし、しっかり休まずに走るのって久しぶりかも。全然走れないんじゃん、これが今の実力なんだろな。

  ここから折り返しのブレストまでには長い登りが。
登りといっても標高は350m。全然たいした峠ではないのに、今の自分には楽しめる余裕が無い。
それに不安だったアキレス腱が痛くなってきてしまった。スタート直後から痛い右親指に加えて右アキレス腱まで…

  道の脇で自転車に跨ったまま補給食のバーを食べる。
パニアバッグの重みでよろけて横にコテっと倒れ、右アキレス腱付近に突き刺さるチェーンリング。
意外と深くて血は直ぐには止まらない。暫く押さえた後キズパワーパッドを貼る。
  チェーンリングが刺さった痛みで、今までのアキレス腱炎は忘れて快適になったぜ!
となるはずもなく、痛みは2倍になっただけだった。

  霧で前が見えない山を越え、一気に下り。体が冷え切ってしまって寒い。
道の横では私設エイドが2リットルのミネラルウォーターを山のように積み上げて配ろうとしていた。
気持ちは凄くありがたいけど寒くて冷たい水とか飲みたくないんです。周りの皆もスルー。

  250mほど下ってまた少し登って。
そのうちに霧も晴れ、体も暖かくなってきた。


  PBPは本当に沿道の応援がありがたい。
こういったエイドだけでなく、あちこちで手を振り、「ブラボーブラボー」と声をかけてくれる。それは夜中でも続くため、暗闇の中から声だけ聞こえて驚いたりもするのだが。

  80時間の部は21日16時にスタートして、トップは折り返しまで20時間くらいか、となると最初に現れるのは22日の12時。最終は(完走タイム内だとすると)84時間の部が23日21時くらいか。
33時間の間に5000台の自転車が通過するわけだ。単純に割ると1時間あたり150台、1分に2,3台は通過することになる。往路、復路を合わせたらこの倍。実際走っていても、前も後ろも誰もいないというのは1度しかなかった。
  PBPの知名度はフランスでもそれほど高くは無い、それでも沿道の人たちにとって4年に1度、30時間もの間ひっきりなしに自転車が通るというイベントは特別なものなのだろう。

  ずっと応援してるのは疲れるけど家の窓からチラチラ眺めてるぶんには楽しそうだなー。
そんな事を考えながらブレストへ。


  ブレスト手前にかかる橋では多くの参加者が写真を撮っていた。
帰りにしっかり撮ればいいやと思ったら、復路はここを通らないルートだった。暫く対向から自転車が来てなかったのに気がつかなかった…

  ブレストはこれまでの都市と違ってかなりデカイ。
橋を渡ったらブレストだー、の上の写真からPC到着までは30分ほどかかっている。
交通規制されているわけでもなく、普段と同じゴチャゴチャした車の中を自転車が進む。よくこんなイベント開催できるなと感心する。

  横断歩道をオバチャンが渡ろうとしてたので停車したら、「何参加者が止まってるのよ、アナタは止まらなくていいから渡りなさいよ」って感じで手を振りながら笑われた。歩行者もなんか親切。

■8/23 12時20分。 618km地点、 Brest(第6PC)到着。


  ブレストは体育館?内に自転車を止める。
ブルベカードにサインした後は別の建物まで移動して食事。


  ここのレストランは10分くらい並んだ。入れ違いで大塚氏が出て行く。


  始めからサラダが盛られたプレートにメインやデザートを加えていくようだ。


  オナカも空いていたので、ここで「チキンね。あとポークも。」とメイン部分で両方要求する。
当然値段は倍取られると思っていた。しかしどう見ても半分しか無い前の人と同じ値段。
  ここまでの食事で、メインに付け合せのポテトとかライスとかは何種類入れてもらっても値段が同じということに気づいていたが、まさかメインそのものを増やしても同じ値段だとは。
メインの値段は5ユーロなので2つでもさほど安くないのが欠点だが。

  前のおじさんは悲しげな表情をし、「コレとソレとが同じ値段なんておかしいだろう」と目で訴えていた。



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