2013/05/31

SR600Fuji後編 カモシカは牛

○5/26
  目覚ましを5時半にかけるも4時頃目が覚めた。
眠りに落ちた時刻はよく覚えていない、21時前だろうか。睡眠時間は7時間ちょっと。起きてしまったので出発の準備を始める。

  ビーナスライン、去年走った時は寒かったんだよな。
標高1600mくらいをやや長めのアップダウンが続き、登りで汗をかいても下りで冷えるの繰り返しでウインドブレーカーを着たり脱いだり繰り返した記憶がある。
  反射ベスト問題で着脱が面倒なため、出来れば暖かい時間になってから走りたい。しかし夜暗くなってゴールするのは嫌、のギリギリを狙う。

  出発は5時にしよう。これなら14時間かかったとして19時ゴール、道志みちはまだ寒くないはず。それに12時間ホテル滞在ってなんかキリがいいし。と5時までスマホを弄りながらグダグダ。さて出発しようと部屋の鍵をフロントに置き外に出ると…パンクしてる。
  空気は抜けきっていないからスローパンクだろう。修理を試みるがパンク穴の位置がわからない。予備のチューブは1本、ここで使ってしまっては道中なにかあった時に困るため、穴を見つけてパッチで直したいところ。フロントに置いた鍵を取り、一旦部屋に戻ってトイレの洗面台に水を溜め、パンク箇所チェック。しっかり直して再出発は5:35。ホテル滞在時間は12時間半となった。

  次のPC、信濃国分寺はすぐ先。
GPSに登録したポイントがずれていて国道18号に出る前にPCだと勘違い。見つからずうろついた後、キューシートを見て確認。


□PC6信濃国分寺(295.5km) 5/26 5:44


  さてここから先は美ヶ原へヒルクライム。
毎年6月末に行われている松本から美鈴湖を通って最高点である王ヶ頭手前まで行くヒルクラのコースとは違って、今回は東側を北から南に抜け扉峠へ。
  美ヶ原は山頂である王ヶ頭付近がダート。その周りを舗装された道がぐるっとまわっている中、今回のコースだけは今まで通ったことが無い箇所だ。

  twitterを見ると立川さんは4:20頃にPC6を通過したようだ。次のPCまでの登り区間で追いつけるか?
昨日に続き今日もまた彼を追いかける形となった。目標があると飽きずに走れていい。お互い勝手に走っていて、勝手に目標にしてるだけだが、そんなんでもかなりありがたいと思う。

  カーブを曲がったら姿が見える、カーブを曲がったら姿が見える。
頭の中でブツブツ唱えながらいくつかの曲がり角。崖の上になにかの影。もしかして…


  カモシカ?
野生の生カモシカなんて初めて見た。

  今回PC以外の写真は撮るつもりは無かった。しかしカモシカは牛。去年の美ヶ原ヒルクライムの日記で書いたようにシカで無くウシ科の動物なのだ。
  シカなら迷わずスルーも、牛である以上撮影しないわけにはいかない。
しかしアナタ、その体で本当にウシなの?


  「ハイハイ、写真撮るよー」と声をかけると寄ってきた。近っ。この反応は間違いなく牛。
しかし意外にゴツい図体に、角でウリャーとやられるのではと内心ビビりまくり。

  そうだ、牛と戯れていて忘れるところだった。立川さんを追ってるんだった。
しかし既に標高は1600m超。ダメか、次のPCまでで追いつけなかったか。

  ここで大きな勘違い、美ヶ原は王ヶ頭がピークでその標高は2034m。この為周回を走るコースは2000mに到達することは無く、今回のピークはPCの先の扉峠1600mだと思っていたのだ。1700mを超え、頭上に見えた建物。もしかしてあそこまで登るの?ピークは1600m程度じゃ無かったのね。

  これなら追いつけるかもと慌ててダッシュ。


  いたー。PC手前、第1カーブの写真を撮っていた。
「あんまり寝れてないよ」なんて言っていたものの元気そう。いつもと同じで覇気に満ちている。

  一旦別れてその先のPCへ。


□PC7道の駅美ヶ原高原美術館(332.5km) 5/26 8:08


  直ぐに立川さんも到着。


  しかし齢70を超えてこの活力は本当に凄い。自分が同じ年齢になったときにここまで元気に走れるとは到底思えない。
  少し話した後は一人先へ。


  このPC、美ヶ原高原美術館は標高1900mを超えるところに得体の知れないオブジェクトがわんさかと並んでいて面白そうだった。
外から敷地内の謎オブジェ群を撮りたかったが、牛で無いので先を急ぐ。

  扉峠まで下った先は去年6月に走ったのとほぼ同じコース。しかし思ってたほど寒くない。
富永さんにも「ビーナスライン寒いよ」なんて言ってしまった。これならもっと早い時間に出ても全く問題なかったではないか。
  相変わらずの絶景を眺めながら、三峰展望台、八島湿原、霧ヶ峰、車山を越え、白樺湖へ。車山は一度泊まってみたいと思っていたっけ。次にSRを走る時はもう少しノンビリしたペースにしてここに泊まろうかしら。


□PC8女の神展望台(378.4km) 5/26 10:24
  ホテルを出てからここまで86kmに5時間弱。予定より大きく遅れている。

  去年と比べロングを走っていないのが祟ってか2日目のペースダウンが大きい。
ただ出力的にはそこまでタレタレになってるわけではなく、これでこの時間ということはこの区間は難関区間だったということか。去年のサイクリングから本気で走れば4時間弱と考えていたのは完全にコースの読み間違いだったようだ。
  ここから挽回して14時間でゴールするのはもう無理だろう。しかし14時間半、20時までに辿り着けばゴールタイムは40時間。普通のBRM制限時間内になるわけで、ここはなんとしても死守したい。それには麦草を午前中に通過が最低条件か。脚が重い…

  今回のコース、ここまで別にキツいとは感じていなかった。
同じ制限時間で累積標高が多かったら確かにキツい。だけど先日の日記で書いたように、300kmブルベを15時間で走れる程度の脚があれば通常の600kmより時間は余る。走る時間が増えたぶん、多く休憩できて帳消し。そんなところだと思っていた。

  去年の静岡600と比べて初日の出力は同程度。時間は13/12倍以上かかっているので、疲れも13/12倍。そんなもの。2日目の出力が落ちているのは単に走りこみ不足。

  だけど、筋肉が受けているダメージとそれから制限時間を考えながら麦草を登っていて、やっぱりこのコースはキツいんだなと思う。
  コイツはユルく走らせてくれない。平地30km/hから20km/hに落とすのと、登り12km/hから8km/hに落とすのとでは同じ割合でも全然違う。いくら軽いギア比を用意しても後者はキツい。全力で走るのを比べたら時間が余るぶん楽だけど、脚を止めてダラダラと走るってのは出来ないんだ。


□PC9メルヘン街道最高地点(400.5km) 5/26 11:50
  麦草登坂も予定より遅かった。でもここから大きな登りは河口湖までを残すのみ。
下り、特に清里から韮崎までは高速区間のため、これで登りの時間を帳消しにできAve25km/hはギリギリ行けるかもしれない。

  麦草下って野辺山へ。前から来たMTBの人がフル雨具。
なんで?と思ってると野辺山登り口で線を引いたように濡れている路面。突発的な通り雨でもあったのか、よかった、朝パンクしてなかったら直撃するところだったよ、運がいい。
  ってウネウネ登ってヘアピン部分に差し掛かると、いきなり大雨。

  防水で無いカメラを腹に抱えて雨宿りできる場所を探す。こんな何も無い位置で降り出すとは、なんて運の悪さ。


  2km程先の工場軒下で雨宿り。一気に降ったため全身がずぶ濡れになってしまった。
空は明るいから直ぐ止むだろう。


  暫く経つとすっかり青空、よかったよかった。
しかし体は濡れて寒いので、早いとこコンビニに寄って着替えないと。


  汚くなったアルクマ。
インナー着替えて、寒さでお腹壊しちゃってトイレ行ってるうちに雨。
直ぐにでも止みそうな天気なのにと1時間強雨宿り続行。止んで出発するとまた雨。再びコンビニへ。


  ああ、そ~らはこんなに青いのに、


  どうしてこんなに降ってるの。

  雷が辺りにバリバリ落ちだして、バイクの人までコンビニ軒下に避難して笑ってる始末。南の青空は消え去ってしまう。あれ?
  低い位置にある雲が南から北へ流れていたのといい、雨が降り始めた状況といい、「天気は南から回復に向かっている」と思い込んでいたんだ。富永さんのツイート情報で、今日は清里、韮崎と夕方雨予報、今後雨は南に向かっていくと知る。

  止みそう、止みそう、と既にここで3時間。
雨だしもう走るの止めちゃってもいいかなと消えかけたヤル気を奮い立たせてカッパ購入。濡れたソックスも替えてコンビニ袋で防水する。
  再び戦意を取り戻した私に、神はささやかなプレゼントを下さった。セブンイレブンのクジが2枚とも当たったのだ!


  何故ガリガリ君…寒いっての。(もう一枚はポカリ)


□PC10JR鉄道最高地点(436.9km) 5/26 16:03
  もうこれで明るいうちにゴールは無くなった。
結局道志は暗くなってから下るのか。いつもいつも道志の下りは夜。寒かったらストッキングでも買えばいいかと韮崎へ。

  全く、もう雨は散々走ってるから雨経験値なんて要らないんだよ。十分なんだ。峠を集中して登りたいんだ。
  雨雲を追い越し、駅が近くなるころにはすっかり小降り。
またお腹が冷えた。トイレ、トイレとコンビニへ。ステーン。コケた。


  頭を打ってガンガンする。ヘルメットは割れていた。

  自転車は無事、転んだ直後は動転していてあまり感じなかったが、その後徐々に大腿の付け根に痛みが。バカすぎる。雨経験値要らないってグレーチングの段差で転倒なんて全然足りてないじゃないか。

  鈴木家は下り安全運転だとか、公道走るから安全マージン大きくなんて言っておいて落車。これだけで全ての言葉がウソ。走行テクニックも状況把握能力も低すぎ。
  すっかり上がった雨。立川さんが軽快に通り過ぎて行ったが声をかける気になれず。(時間無いとこ止めちゃうのも悪いし)


  車道-歩道の段差を前輪上げながら乗り越えつつハンドルを切って角度を鈍角に、でグレーチング乗り越え。という目論見が失敗。
  韮崎周辺のこの排水溝、グレーチングだけでなくてコンクリート蓋部分にも金属のエッジがあって危険ってのは知ってたはずなのに。考えていた速度では減速が十分でなかったんだろう。

  その後は痛む脚をダラーンとさせて韮崎駅まで下り、ダイソーで自転車カバーを買って輪行で帰宅。
うまく歩けず自宅到着は25時。今期怪我だけは避けたいと思ってたのにな。

  威勢のいいこと言ってたわりにはあっけない幕切れでリタイア。またリタイアだー。



■5/26
走行距離: 175km
累積標高: 3806m

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