2015/08/27

PBP2015 その3:Aに追いつくB、自分の居場所

  集団から千切れる者も居なくなり、平和な時間が続いていた。スタートから3時間、自分はどこまでこの集団に乗っかっていけるのだろうか?

  この時点で補給ポイントである140kmMortagneに寄る気は全く無くなっていた。オナカは空いていないがちゃんと食べないとこの先走れなくなるため、腹のパンを取り出して口に無理やり詰め水で流し込む。素晴らしく美味しくない。
  120km、下りで速度が上がった集団はLongny-au-Percheの街に突入。減速して直角の左カーブ。そして右カーブ。

  目の前に現れたのは急斜面の長く続く登り。そして何故か、集団の人数が倍くらいになっている??
  Aの第2集団を吸収したのかと思った。先頭は遥か先のほうにいる。これはマズイ、呑気に走っている場合では無かった、全力で追わねば。

  100人超になった集団は登りで速度が落ち、反対車線まで完全に道路を塞いでしまっていた。道の一番左端に出て登りで失速している人を追い抜いていく、しかし先頭には全然届かない。
  標高差50mほどの登りの後、斜度は一旦緩やかになる。前回遅れた時のHITACHIジャージのように、私の他にも一人くらいは後ろから先頭目指して駆け上がる人はいるようだ。ここでは緑ジャージ、かなり強い。1人と2人では全然違う。2人で人の間を縫うように前へ前へ。100mほど下り、そしてまた斜度6%で100mほどの登り…

  この登りで数十人の纏まった集団を捉えた。ここで「この集団で休んで前を追えばいい」なんて考えてしまった。日記その1にも書いたように、このPBP、無理して先頭を追う人はそんなにいない。
  緑ジャージは左から集団を追い抜いて先に進んだのに、私は集団内に入ってしまったばかりに左と前を囲まれて前に出れない。うーん言葉が通じないってこんな時に困る。埒があかないので一旦最後方まで下がってから左に出て追い抜き。くそっ、無駄な時間を使ってしまった。しかし何で誰も追わないの?

  そこから続くアップダウン。前は見えてる、でもここまで脚を使っていて差を詰めるだけの出力が出せない。誰かほんの少しでも前に出て休ませてくれればもう少し速度を上げれるのに、何故誰も交代してくれないのさ。
  7,8kmの孤立奮闘、後ろを振り返ると20人程がついてきている。134km地点、Mortagneまで6km。40人程の先頭集団が先に見え、その後ろに5人。見えていた集団との差が開き始めた。私の実力じゃ先頭集団以上の速度で走れる時間なんて限られている。もう無理だ、もう少し早い段階で追いつかなければダメだった。補給ポイントを前にして無念の脱落。

  後から分かったのだが、この時Bが吸収したのはAの第2集団ではない。Aの先頭集団、PBPの先頭を走る集団だったのだ。
  どうやら今回フランス人を中心とした速い人たちはAではなくBカテゴリを選択し、早い段階でAに追いつき15分のアドバンテージを得ようという作戦だったらしい。120km,3時間半で15分差を詰めたのだから、ここまでの走行速度は7%、2.5km/h程度の差があったと思われる。


http://labs.strava.com/flyby/viewer/#374889859,x4Y2Fg==

三船さんとのFlyby。3:40あたりがBがAに追いついたポイント。

  言い訳一覧。
・登り坂に入ってから、あるいは少し手前で集団先頭はAに追いついたをの知り速度を上げた。(あるいは先頭はもっと前からA集団を目視していたのかもしれない)
・そこそこの斜度、長さの登りで集団が伸びた。街中通過&直角カーブで登り突入前から伸びていたのもある。
・A,もしくはBの登れない人が完全に道を塞いでしまい、最後尾にいた自分はブロックされてしまう形になった。
・一旦2人で追う形になれたのに第2集団内で休もうとしてしまった。そこでまた塞がれてしまった。

  Flybyを見る限り差は詰めれていた。しかもこの後Mortagneからロシア人と2人で回した区間も先頭から離されていない。あと少しが何故届かなかったのだろう。

  自分の調子は悪く、これだけ走れるとは思っていなかった。牛監督なんて余計なものを付けずに防寒具を最小限まで減らして集団についていくのを狙えばよかった。自身を少し過小評価していた。
  そしてこの集団のレベルなら最後尾でどんなに中切れが起きても単独で追いつけるだろうと、自身を過大評価していた。ここで追いつけないようではやはり集団を走る十分な力があるとは言えない。ヒマだから前に出てみようかなーなんて思い上がりも甚だしい。
  残念だけど実力不足だ。追いつくには力が足りなかった。少しに見えるその力の差が大きいんだ。

  ま、正直言って最後まで集団に着いていけるレベルではないのはわかっていたし、そもそも最大に上手くいって449km,Loudeacまでを予定していた。(ドロップバッグからの荷物詰め替えに時間がかかる為)
  ここまで先頭で走れて御の字といえば御の字なんだけど、経験の為にもう少し先頭集団を味わいたかったな。特にPCでの補給が見たかった。

  失意のままMortagne。寄る気は無いのに狭い入口付近で前の2人が停車してこちらも停車を余儀なくされる。「へい」とか「えくすきゅーずみー」とか言ったけど道開けてくれないんだもの。
  折角速度0に落ちたので振り返って牛監督ストラップを締め直し。これで落ちることはないかな。Mortagneを通過、前とはどのくらい離れてしまったんだろう?後ろに人の姿は見えない。第2集団が先頭を追わなかったのはここで補給するつもりだったからなのか。

  Mortagneの先にはサポートカーがたくさん止まっている。サポートありの人はここで補給物資を受け取ったのだろうか。ってMortagneはPCじゃないからサポートダメなんじゃないの?実のところPC以外にも補給車ぽいのが止まっていて、絶対これ個人のサポートだろうってのは何件かあった。

  街を出ると直ぐに前に一人見えた、ここはモガいて追いつく。フレームの三角がプラスチックのようなもので完全に塞がっていて、ロシア国旗のペイントが成されている。ドリンクはサドル後ろに2本つけていた。
  空力的に塞いでるのかなーと思ったら右型に扉のようなものがある、これは物入れなの?フレームにあまりにピッタリフィットしてるのは特注?いろいろ聞いてみたかったが、上手く英語で聞ける自信が無かった。英語話せるようにならないとダメだな、PBPの楽しみが数割減ってしまう。

  会話は無くてもこのロシア人はきっちり先頭交代をしてくれる。15km程一緒に走ると前に3人集団。追いついてロシア人と顔を見合わせ、親指を立ててグッジョブ。これでかなり楽になるぞ。

  しかし3人に対して2人で追いついた速度の違いからか、あるいは作戦か、吸収した3人は全く前を引いてくれない。
  先頭から下がる合図をしてロシア人と交代、後ろに下がるとロシア人と3人の間に一人分、私が入る間が空いている。無視して後ろまで下がってもいいんだけど、これ以上速度を落としたくないのでここに入って2人で回し続けるしかない。全然楽になってないんじゃん。
  こうして170km地点過ぎ、後ろから来た15人程の集団に吸収されてしまった。これだったら2人で走らずにMortagneで後ろを待てばよかったのでは。

  集団に合流直後、何故か全員が停止した。
暗くなってきたので尾灯点灯&反射ベスト着用、それからオシッコタイム。皆に合わせて道脇で私も立ちション、あー走りながらやるじゃなくて良かったよ。

  20人になると走行はかなり楽だ。全員が前に出るわけではなく、先頭を回すのは3,4人。数回先頭が回ってきて疲れたら最後尾、暫く休んでまた先頭へ、という流れとなった。結局前をひいていたのは私とロシアの彼を含めて7,8人だろうか。
  速度は最初の先頭集団からだいぶ落ちる。先頭交代にきちんと加われており、私のレベルではこのくらいの集団が適切なのだろう。暗くなってきた中、千切れた人を吸収していき、PC到着時には30人を超える集団となった。

  PC1:Villaines,221km ここまで6時間23分。先頭集団からは千切れてしまったがタイム的には悪くない。

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