2015/09/01

PBP2015 その7:英語の通じないエイド、ぬるいシャワー、そして睡眠

  ドロップバッグ場所に日本人は1,2人しかいなかった。往路の人ともう少し会うかなと期待してたんだけどこの時間だと多くが通過してしまってるか。
  「明け方は凄く冷えるよ、気を付けて」とステファニーさん。復路の自分は風邪を引いてしまって朝まで寝るつもりだと告げ、美味しくないパスタと肉を食べた後、医務室へと向かう。

  「風邪ひきました。頭と喉が痛くて鼻水止まりません。薬無いですか?」「????」
  まさか、I have a cold.も通じない?きゃっちあこーるどよ、風邪よ。誰か英語出来る人いないか尋ねると、首を振ってイナイネーの表情。え-?

  4年前も8年前も、フランスは英語通じないと聞いていたのに公共の場所では問題なく使えた。ここはボランティアでその辺の人がやってるだけだろうからダメなのかな。コントロールのスタンプ押すオバチャンも大抵話せないものね。
  戸惑っているとオジサンは一枚のラミネートされた紙を取り出した。症状の英語-フランス語対応表だ!これを見ながら、I am sick.I have a headache.I feel cold.を指さす。鼻水と喉の痛みはそれっぽいのが無かったのでジェスチャーだ。
  飲んでる薬は無い?喘息持ち?のYES,NOチェックを受けた後に座って待っていると、謎のシュワシュワする薬が浮いてるコップを持ってきてくれた。「これ飲めばいいの?」「溶けるまで待て?」身振り手振りで会話してゴクリ。
  ブルベカードに診断を書かれておしまい。ホントにこれ風邪薬だったのかなあ?

  このままゴールまで走るのを諦めたからには睡眠、しかしその前にこの体の寒気をなんとかしたい。幸いにもここルディアックには有料のシャワーがある。3ユーロを受付のオジサンに支払うと1m程度のペーパータオルが渡された。これで体を拭けということらしい。
  PBPのシャワーでペーパータオル使用というのは前回参加でわかっていたことなんだけど、前のSaint Nicolasの時は着替えルームにデカイペーパータオル巻き巻きが置いてあって好きなだけ使えた。まず紙で体を拭く文化は無いし、1m弱というのは量が圧倒的に足りないのではないか。トイレットペーパーでオシリを拭くのですらその位贅沢に使う人もいそうだ。

  ドロップバッグ内に入れてあったタオルを取りに戻るのも面倒でインナーで拭けばいいやとシャワールームに入る。
  天井からチョロチョロと出る水圧の低いシャワー。ここまでは予想通り。が、お湯にしてはあまりに冷たい。そもそも体を洗いたいわけではなくて温まりたいから入ったシャワーなのにこのままでは更に風邪引いてしまう。早々に切り上げ(やはりこの量のペーパータオルは何の使い物にもならなかった)、持ってきた服を着込む。
  半袖インナー、長袖インナー、半袖ジャージ、そしてオダックス埼玉の真冬用長袖ジャージ。下はレッグウォーマーにパッド無しタイツ。更には耳当て付きキャップまで。防寒着は完璧、仮眠室はそんなに暖かく無いからね。

  時刻は23時、仮眠待ちは20人くらい。せめて屋内に入れてくれればいいのに寒い外で待たされる。沢山着込んでるから問題無いか。この時間寝ている人の殆どが90時間往路なはず。彼らはそろそろ起きて出発する時間だろうから20人待ちといっても直ぐに空くだろう。日本からの参加者も数人出てきた。この時間にここで寝てて入れ違った知り合いも多かったのかもしれない。
  15分ほどで順番が回ってきて体育館内部へ。4ユーロ支払い、起こしてもらいたい時刻を告げる。マット番号が書かれた紙を時刻が書かれたコルクボードに貼りつけていくのは前回と同じスタイル。23時半~翌1時に紙が集中している中、ポツンと離れて7時に1枚。この時間から90時間往路がそんなに寝てたらタイムアウトだから、私と同じく復路か84時間カテゴリーか。

  負けてられじ?と起床時刻は9時と告げる。10時間あれはその前に自分で目覚めるのでは無いか。
  体育館に敷き詰められた簡易ベッドとマット。私はマットに案内され、薄いシーツを羽織ってオヤスミ。あっという間に眠りに落ちた。

  朝までグッスリというわけにはいかず、2時間ほどでトイレに起きる。丁度到着していた泉さん、「なんだよ、序盤飛ばしてたらあのまま行けるかなと思ったら案の定ここで終わりかよ」
  はいすみません。泉さん60時間切り目標と言ってたけどこれかなりいいペースなんじゃないの?このままゴールしたら52時間くらい?流石に寝ずに走るのは無理とのことでここで2,3時間仮眠する模様。

  そういえばこの時間にここでしいちゃんと会ったっけ。他の埼玉組とは一緒に走っていないようだった。
  ベテランのカワチさんも言っていたけど、ギリギリ隊が連結してパックになったら楽に走れるかというと決してそんなことは無く、各自の睡眠パターンが合わず余計に厳しくなってしまうことも多々ある。特に日本人はオダックス的な「集団で足並みを揃えて走るプレイ」を普段からしてるわけでは無いから尚更だ。
  妻と一緒にギリギリを走るのはかなりキツいからね。余力があるほうが合わせてこれなんだから、まあ私が特にムラがあって人と合わせるのが苦手というのもあるけど、「一緒になっている間だけ協力する」くらいが私も好みだ。
  話は戻って埼玉の他の皆は元気なのかな。適度にくっついたり離れたりして走ってるんだろう。

  悪寒と鼻水はかなり治まっている、こんな時間に起きちゃったしこのまま走ろうかなとも思うが、悪寒じゃなくて単純に寒い。もうやる気もすっかり無くなっているのでそそくさとマットに逆戻り。
  起こされる前の7時過ぎに目覚めてまたトイレ。朝の冷え込みは激しい、持ってて良かった埼玉長袖。んー今回はグッスリ寝れたな、8時間寝れれば十分かも。空も明るくなってきてるし出発するか。受付に起床時刻前だけどもう出るよと告げて外へ。

  あと450km。気分は完全に敗戦処理。
コースが特に面白いわけでもないし、ダラダラ走って引き返すだけ。はあ、つまんないPBPになっちゃったな。

  自転車置き場には呆然とたたずむ鎌野さん。あれ?こんな時間に何してるの?

「運命の出会い」
次回、物語は急展開を迎える。

2 件のコメント:

  1. > 謎のシュワシュワする薬が浮いてるコップ
    たぶんこういうビタミン補給タブレットです。
    http://www.redoxon.ca/en/

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    1. んーやはり風邪薬では無かったのかしら。
      まあ寝たら体調回復したので良かったです。

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