2017/05/24

ブルベのすべての書評など

  発売されて1週間が経ちました。ぼちぼちレビューを書いてくれる人も出てきたので転載させて頂きます(許可を頂き、Twitter公式埋め込みではなく抜き出して転載しています)。

  まず多くの方が手にとった直後に言われているのが

・分厚い

  です。これは自分でも感じました。それから文字が小さくて図や写真が無いもよくある第一印象です。

  シロウトの筆者が、一冊の本を書くのに適切な分量がどのくらいかもわからずに書いた結果こうなってしまいました。まあ今となっては「すべて感」が出てよかったかなと思っています。


○ブルベ動画で有名な?ひらまつかんとく

  まだ全部読めていませんが、いやいや文章巧いわ。”そうそう、こうなんだよね”というなんとなく頭の中に漂っている自分の思いや考えを具体的に言葉に落としてくれている感じで読み進めるのが実に愉しいです。
  ブルベに参加する為の参考書としてはもちろん、ブルベなんか絶対出ないぞという人が恐いもの見たさでその魔界の入口を覗いてみるためにも有益?かもしれません。たぶん「絶対出ない」という思いが確固たるものになることでしょう(笑)。それくらいリアル感に溢れていますから。
  だいぶ盛っていそうです、ありがとうございます。しかし元の本より書評のほうが巧いのはなんかちょっと悔しいです。


アベケンさんのtweet

  「ブルベの全て」読了。なんだろう、もちろん装備やコツ、攻略法的な事も書いてあるんだけど、楽しみ方や心構えみたいな部分ですごくワクワクする内容だった。書いてる人がホントに好きなんだなぁってのが伝わってきた。今年は300km走るぞー
  「雰囲気」が書けたかどうかは読み手でなければわからないこと、伝わるかどうか不安だったことを感じていただけたようでなにより。


cherryさんのtweet

  「ブルベのすべて」読了。本として楽しめたし、参考になる情報もたくさん詰まってた。公道を走る故の危険とか、熱中症や体の痛みへの対策など、知識があるだけでも全く違うので、整理して書かれているのはありがたい。色々試して自分に合うものを探すのが楽しみ(^^)
  ボリュームのある本だけど、著者さんはきっともっと色々書きたいことがある中で、良い意味で一般的な内容に仕上げた感じがした。個人的には、ブルベを通して成長していく主人公?が微笑ましくて楽しかったので、物語的なのも読んでみたい。
  途中挿入している小噺(架空日記)もそれなりに好評でよかった。


kumaMacさんのtweet

  リアリティあると思って読んでます。ジワジワ売れると思います。
  ボリュームあるけど面白かった。途中でやめそうになっても新しい刺激が発生する。また読み返したい。本がそのままブルベだね
  すぐ古くなる装備レビューといったものは避けたため、本としての寿命はムック等より長いとは思いますが……。ジワジワ売れてくれるといいです。それから途中の日記は実体験を都合よく繋いでいるので、濃縮果汁還元みたいなものです。グレープよりグレープ味です。


  さてここまでの書評ですが、面白いと言ってくれている方の多くは

・リアル

・楽しい(苦しい?)雰囲気が伝わってくる

・ブルベあるある


  部分を気に入ってくれているようです。私としては「あまり本に載っていないような情報」も盛り込んだつもりなのですが、それよりも雰囲気的な面で評価してくれる人が多いようでした。

  あとは巻末ブルベ用語集のくだらなさ加減が、ランドヌールに受けがいいです。



次は走行時のノウハウなど情報に対する評価。

マロン太さんの読書メーター

  今年からブルベを初めて200・300と完走したところで、当書の存在を知り即読了。ブルベの大先輩である著者の、主観的な一次体験を元にした記述と、一般論的な一歩引いた記述の、バランス感覚がとても良かった。文章も上手いし。一冊丸々をブルベに絞った書籍なんて、類書はまずないはず。ブルベ・ロングライドに片脚を突っ込んでいる人、ないしは両足ズッポリの人も、これは必読の書になる気がする。
書評が上手い……こっちが恥ずかしくなりますわ。


わかば/Wakabaさんのtweet

  鈴木裕和さん「ブルベのすべて」ざっと読み。面白い!分厚くて文字が多いけど堅苦しさはなく読みやすい。ブルベに参加する人に多くのことを考えさせる書き方で、素晴らしい本だと思います。
  著者の考え方は一貫していて、選択肢のあることについて何が正解という押し付けがないんだよね。自分でやってみて、好ましい選択をすればいい。この本は多くの失敗と成功の積み重ねでできている。ブルベ完走マニュアルではない。
書き手の意図を読み取って頂けるのが一番うれしいですね。


YO-TAさんのBlog

  既にブルベを走っている皆様は、「あるある」話の宝庫として。これからブルベをはじめたい、という皆様は、今後踏み入れる世界の雰囲気を知る手がかりとして、とても良い参考書になってくれると思います。とはいえ、私が読んで感じたのは、この本の内容が最も「響く」のは、ブルベ(に限らず、自転車のロングライド)の世界に入ってきて、今、まさに初心者からのステップアップを考えている皆様ではないか、ということでした。
  本書には、著者の鈴木さんが得たノウハウを軸に、色々な皆様が「こうしている」というノウハウが豊富に紹介されています。ここから色々なエッセンスを取捨選択し、自分なりのノウハウを作っていくと、物凄く楽しめると思います。
  Blogより抜粋させていただきました。リンクを辿って全部見てね。


  他には、味覚障害や股ズレなど自分だけが悩んでいると思っていた、周りのランドヌール(ズ)もいろいろな障害に悩みながら走っていることを知って安心した。なんて意見もありました。安心したところで改善するわけではありませんが……。



  ちょっと微妙な?感じのもの

けろさんのtweet

  つらつらと寝る前に1割程度流して読んだ。入門書のフォーマットなんてそうそう変わらないんだろうけど、何故かTRPGの入門書を読んでるみたいな気分に(;´∀`) ここで2d6とか書いてあっても違和感が無い感じw
  語り口もそんな感じで、読者との距離をつかみあぐねているところとかがなんとなくグループSNE風というか富士見書房風というか(;´∀`)
  グループSNEの本はよく読みました。余談ですがクトゥルフの呼び声ルールブック持ってました。
  解説本というよりは、普段のBlogの日記のような感じで口語を混ぜたりしながら書いたのですが、「距離感謎」とか「情報は網羅されているけど微妙にこなれていない」と感じる人も居そうです。この辺りは私の文章力の無さ故かな。


Amazonカスタマーレビュー

  こちらは転載無しで。ネガティブな評価ではないのですが読む人を選ぶ本とあります。当人にとっては難しく「PBPを完走すれば書いてあることがわかるのかも」とのことでした。
  しかしSRとPBP完走者の間には、休暇と金銭的な問題以外の差は、ほとんどありません。ですのでたぶん、著者としては残念ですが、PBPを完走されても評価は変わらないかもしれません。

・必要としている情報が書かれていない

・読み物的な部分に魅力が感じられない(求めていないor私の文章では伝わらない)

  恐らくこの辺りで物足りなさを感じられたのではないでしょうか。こういった感想を抱く方は一定数いるのかと思います。



  最後に

○AJZwift2年連続SRのYoshidaさん

  安全に走るためにはというキーワードが全編に亘って行間から読み取れた。
  走り方はかなり理想論を書いています。参加したての初心者は、余裕を持って安全に走ることは難しいかもしれません。「無茶をしている」ところがブルベの魅力でもあり、そういった面に惹かれて参加する、というのは私はすごくわかります。
  でも脚力がついて、経験を積んで、そうやって慣れていくうちにより安全に走れるようになっていきます。ま、いつまでたっても無茶に取り憑かれている私がエラソーに書けることじゃないんですけどね。



  高評価が多いですが、発売されてまだ1週間ですから、この間に読んで評価を書くような方は気に入ってくれたからでしょう。時間が経てばネガティブな評価も散見するようになるはず。再起不能なダメージを受けるもので無い限り、そういったものも(言い訳付きで)いつか紹介します。

  本書を読んで下さった皆さまありがとうございました。ここで挙げた方以外のいろいろな評価も一喜一憂しながら読んでいます。
  しかし皆さん上手いですね……。ブルベの楽しみ方が人それぞれなように、同じ「ブルベの本」を書いたとしても、人によってそれは全く異なるものになります。自分の言葉で説明するより、こうやって人の評価を並べたほうが著者が何を書きたかったのかが伝えられそうです。

跳ね上げサングラスの欠点

  「ブルベのすべて」では、普段メガネ着用の筆者はRUDY PROJECTの跳ね上げ式サングラスを利用していると書いています。

  度付きサングラスと比べて安価であり、サングラス部分が傷んでもメガネレンズはそのまま使えるため安くすむという利点もあり、気に入っています。夜間は外してメガネとして使えますし(調光レンズといえども透過率は落ちる)。

  しかしこの手のレンズが2枚になるものは、レンズの見え方の他に

・重い

という大きな欠点があります。

  サングラスの重さってなんだそれ?数グラムを気にするクライマーかよ!と思われそうですが、常に装着し続ける超ロングライドにおいてはこの微妙な重さがストレスになります。
  ただ私の場合は連続して1000km超を走る場合にストレスを感じ始めるので、それ以下の距離がメインのブルベ本に置いては記載しませんでした(200kmでは別に気にならない)。個人差も大きくあるかと思います。

  精神的な「なんか重い」というストレスの他に、ツルが接している耳の上や、ノーズパッドに接する鼻が赤く傷んできます。特に私は耳の上が顕著で、1000km以上走る場合はここにキズパワーパッドを貼ることも多いです。傷んでからだとイヤなので、超ロングの時はもう出発時に貼ります。

  ツルの形状を調整しても超ロングで傷むという人は、ご参考に~。

  あ、あとですね、これ書いたら友人から

・雨の中は絶望的に使えない

と言われました。そうか、私、雨の時はサングラス部分無くていいやって跳ね上げてるか取り外しているかで、すっかり忘れていました。雨の中サングラスを着用しようと思ったら(紫外線、あるいは風対策)、レンズ2枚のシステムは避けたほうがいいです。

2017/05/23

ラテックスチューブ使用のリスクについて

  「ブルベのすべて」(P75)にラテックスチューブについて書いています。

  利点として
・低い転がり抵抗
・高い耐パンク性
・乗り心地アップ

  欠点として
・高価
・空気が抜けやすい

  ことを挙げていますが、大きな欠点を記載していませんでした。

  その前に1点補足。
・高い耐パンク性
貫通パンクに対してはブチルチューブより発生しにくいという実験結果があります。しかし、装着時にチューブを噛みやすいです。


■ラテックスチューブ使用時の謎パンク


  以前から、「カーボンクリンチャーのホイールメーカーはラテックスチューブの使用を推奨していない」という話が出ていました。

  原因については推測の域を出ませんが

カーボンリムはアルミリムより高温になるため、ラテックスチューブの使用は危険

というのが定説でした。

  これについては日本でも、全然へたれでない「へたれ自転車乗り」さんがテストを行っています。
・カーボンクリンチャーのブレーキの発熱について
  ラテックスチューブのほうが耐熱限界が低く、カーボンリムはより高温になるとあります。一般的な使用方法ではその温度まで上がらないだろうと纏めていますが、特定条件下では熱による障害が発生してもおかしくありません。

  しかし最近、出力はイマイチだけど空力と理論はピカイチな人が面白い話を持ってきました。

・Use Of Latex Tubes In ENVE Clincher Wheels
ENVEはクリンチャーホイールにラテックスチューブを非推奨、その理由は

ブチルチューブと比べて厚みが不均一だから

としています。

  しかし一方で
・SES Tubeless Clincher Rim Tire And Tube Installation

ラテックス使うなら太めのヤツ使うとイイよ

とも書いています。
  reliability and performance、とあり、たぶんreliabilityの為ではないかと想像するのですが、意図していることはENVEの中の人で無いとわかりません。

  とにかく、

ラテックスチューブには高温に弱く、謎パンクのリスクがある

という点には注意してください。私も原因不明のパンクがありますし、話にも聞くことがあります。正直これが熱に起因するのか、厚みが均一でないからなのかはよくわかりません(タイヤ内でチューブも摩耗するため、厚みの薄い部分があるぶんブチルより穴が開きやすいとか?)。信頼性という点でブチルより下です。

  本には情報としてこれらのことを記載しておらず、ちょっと無責任かな、とここに纏めました。長時間走るブルベでは、使用されることは少ないかと思いますが、もし使用する場合はこれらの情報から、自分で判断して使ってください。

2017/05/14

書いてしまったこと

  いよいよ発売される「ブルベのすべて」
  書いて後悔、いや、もう少し上手く書けたのでは、と後悔している箇所がある。

  執筆にあたって悩んだのは、「睡眠」というブルベのネガな部分をどうまとめるかという点だ。躊躇したのは2点、寝不足での症状と、寝場所の話。


  寝不足での症状というのは、マイクロスリープと、幻覚を見ることだ。
  ブルベで限界走行を続けたことのある人なら、そこにあるはずの無い物を見たことがあるかもしれない。
  この幻覚、ブルベではよく笑いのネタにされる。「交差点の地面から巨大なタケノコが生えていた」だの「隣をいないはずの友達が走っていた」だの、飲み会でのネタにはいいのかもしれないが、これは非常に危険な行為だ。読んだ普通の人は「そんな状態で公道を走って何を考えてるのだ?」となる。

  だから幻覚に関しては、極限状態で起きる症状として軽く書くに留め、そうなるまで走ってはいけない、とまとめた。
  この部分に関しては(もちろん批判を受けることもあるだろうが)、後悔はしていない。


  失敗したのは寝場所だ。
  幻覚についても、以下の寝場所についても、ブルベで耳にすることがある以上本に書かないという選択肢は無かった。しかし、もう少し書き方というものがあったのではないか。

  まず問題なのが、ホテルや健康ランドといった睡眠をとるための施設と、社会的に大問題な寝場所を並列に挙げてしまっていること。本書では寝場所の例として、次のようなものを挙げている
・ホテル、健康ランド、銭湯、インターネットカフェ、道の駅、ファミレス、コンビニ前、公園、道端、バス停、コインランドリー、コイン精米機、キャンプ、ラブホテル
  このうち「キャンプ」「ラブホテル」を除いて、道の駅以降は推奨されない寝場所だ。私の中では、後ろにいくほど問題がある場所として書いていった。

  そして寝場所の項の最後は、このようにまとめている
  ブルベに参加した頃、あるブルベのスタッフが「参加者が道端でゴロゴロする、そんなことがないようにしたいんだよね」と言っていたのを覚えている。自転車を始めたばかりの私は走るとすぐに眠くなっていまい、現在のように途中でホテル泊をする人なんていなかった中、「そんなこと言われても、どうすればいいのさ」と反発していた。
  今ならその人の言っていたことがわかる。閉じた世界でなく公の場所を使って遊んでいる以上、あまり他人に不快感を与えないようにしたいと思う。主催者としてはなおさらだろう。
  なので、どこで寝るにしてもあまり目立つ場所は避けよう。400㎞地点のコンビニ入口で横になって寝ている人をよく見かけるが、せめて店の裏や見えないところで寝るわけにはいかないだろうか? 地べたに座って食事しているだけでも引かれる光景なのに、オジサンたちが入口横で寝ているなんて、他のお客さんはいい気がしない。

  寝不足で走ったり、道端で寝たりするのは、とにかくグレーゾーンな部分ではある。やるなとは言わない。そのあたりはブルベが世の中からつまはじきにされぬよう、うまくやって欲しい。

  書きたかったことは、「反社会的な行為との付き合い方」だ。主催者はブルベを健全なものにしたい、と思っている。他の参加者だって、ブルベがイリーガルなものだと思われたらいい気はしない。
  本に書いてしまった書き方だと、「隠れて寝ろ」と読み取れてしまうが、そんなことを言いたいのではない。もし反社会的な行為を取らざるを得なくなった時、もちろんこれはダメなんだけど、できる限り人の迷惑にならないようにしよう、そう書きたかった。

  例えばファミレス、私の友人が書いていたブルベの日記によると彼は店員さんに「疲れているので食べている間ウトウトしてしまうことがあるかもしれません、でも長居するつもりはありません」と言ったとのことだ。
  私も熱中症でどうしようもなくなった際、道の駅内の飲食店で、店員さんに話して奥の座敷席で少し横にならせてもらったことがある(テーブルの上に2品注文して並べて置いた)。

  対価を払ってサービスを利用せずに、スペースのみ勝手に利用するのはダメな行為だ。
  コイン精米機はもちろん、バス停だって、コンビニの駐車場だって、既に買い物が終わっている状態では程度の違いでしかない。「バス停で寝た」と日記に書いている人が「コイン精米機で寝た」と書いた人を咎めることはできない。

  そしてこれは、世の中の許容量の問題だ。
・深夜のバス停にお客は来ない。誰かの迷惑になるわけではないからと、中に銀マットを敷いて寝袋に入って寝る。
・突然の雨、屋根のついたバス停の下でカッパに着替えた。
これは、勝手に場所を使っているという点で本質的には変わらない。違うのは時間、そして印象だ。
※寝ているというのは、「サービスを利用する人が入りづらい」という物凄く大きな違いがあるが。
では、バス停のベンチに座って少し休む、というのはどうだろうか?コンビニの駐車場はどうだろうか?コインランドリーで服を乾かしている間はサービスの利用者と言える、ここで横になるのはどうだろうか?

  サービスの提供者、それから利用者の損失、そして世間。自分の状況とあわせてそういったことを考えて「うまくやってほしい」。もちろんやってはいけない行為だ。やってしまったら非難されることは当然だろう。

  そしてたぶん私のこの文も非難されるものなのだろうが、黒いところを含めてブルベというものを書いたうえで、健全な方向を向いて欲しい、こういったことを考えて欲しいと思った。私に「道端でゴロゴロすることがないようにしたい」、そう言った主催者はたぶんそれを願っているだろうから。

※ちなみに本書では、様々な理由も含めて「ホテルで寝ろ」と推奨している。

BRM503千葉1000km_5:ビューティー鈴木のビューティーゴール

■5/6
  日焼けが痛すぎる。暑い風呂に入れないというレベルじゃない、布団が少し当たっただけで痛い。顔には濡らしたタオルをかけて寝た。

  2時にロビーに降り、日焼けのプロのたけさんに、あまりに日焼けが酷いんだけどどうしたらいいか聞く。
  彼は赤く腫れた私の顔を見て大笑い。ステロイド系の軟膏を塗ってアロエジェルで浸していたとか言ってたけど、とりあえず今日は走るしかない。日焼け止めスプレーを借りて塗ってスタートした。


時計の跡が凹んでいるのではなく、その他が腫れている

  日焼け止めなんて塗ったことが無かった。毎年のGWロングライド初日では少し焼けて、風呂に入った時に痛い程度には感じることはあったけど、ここまで酷い日焼けは始めてだ。考えてみると、例年は冬から自転車に乗っていたし、4月に入ってからは半袖ジャージで自転車通勤をすることもあったはず。それが今年は、GWでのいきなり自転車、いきなり半袖。


顔もひどいことになっている

  セルフィー撮影のビューティーモードのせいで、日焼けの色は無かった事にされ、変な腫れによるシワだけが目立つ。
  この登れない人はクライマーの鈴木じゃなくて別人のビューティー鈴木さん、これ以降なぜかそう呼ばれることになった。

  成田を越えてタカトリと合流。相変わらずたけが強っていて全引き状態。
  しかし私もここまで900km走ってようやく、日焼けは酷いし、胃の調子もおかしく時折中身が込みあがってくる状態ではあるが、徐々に長距離に慣れてきた感がでてきた。
  最初の200kmは1000kmくらいに感じた。今日の100kmは150kmくらいにしか感じない。疲れているし、デブっているし、満足な速度では登れないのだけれど、それでも最後のクイズポイントへの登りを楽しむ。

  クイズポイント手前には千葉スタッフの平山さんがいて「トンネルを3つ超えたら下りだから気を付けて」とアドバイスをくれた。


クイズポイントのバス停

  バス停には「予約制」と書かれていた。予約制バス?そんなのあるの?それってタクシーな気がするけど採算とれるの?
  謎を抱きながら最後の登り、あとトンネルを3つ超えたら、下りでゴール。1つ、2つ、3つ…まだ登りじゃん、結局ピークは4つめのトンネル。あのオッサン、数も数えられないのか!

  下りきってからの海岸線は強烈な向かい風。しかし我々にはたけ機関車がいる。もちろん誰も前に出ずにゴールまで、あ、その前に。


残り12kmで休憩


ビューティーゴール!

  疲れた、ほんと疲れたよ今回のブルベは。
  やっぱり当たり前だけど走ってないと走れないな。序盤にひであさんに着いていっちゃって胃をやられたのが良くなかった。それに日焼け、ある程度焼けてる状態からじゃなくて、いきなり日焼けするとここまで酷くなるのか、これからはちゃんと日焼け止め塗ろう…


日焼け後ジェルを塗りたくる



  さてこの後は宿で反省会。


船盛りと共に騒ぐ

  こっそりと本の紹介をしようと思ったら、いきなり平山さんから紹介。
  「えっいいの?だって平山さん私の本読んでないでしょ、そんなわけのわからないものを勧めちゃっていいの?」そう聞くと平山さん「何言ってんだ、これまで走ってきたのを見てればわかるよ」的な返答。これ、本当に嬉しかった。読んでガッカリしなければいいのだけれど。

  私がブルベを走るきっかけになった坂東さんのブルベへの想いを聞けたし、最速でゴールしながら最後のコンビニを間違えて20時間遅れのゴールタイムとなった近藤さんの、自転車を始めるまでの経緯も聞けたし、楽しい反省会でした。1000kmの長丁場ブルベ、スタッフのみなさんありがとうございます。苦しかったけど、楽しかったな。

BRM503千葉1000km_4:真夜中のダウンヒル

■5/5
  23時にロビーに集合とのことで22時半に目覚ましをかけたが、22時には起きてしまった。やっぱり疲れすぎていて上手く眠れない。
  30分前にロビーに降り、フロントの人に「今からですか?」と驚かれつつチェックアウトしていると、たけさんも降りてきた。まだ半分もありやがる、長げえ、と2人で悪態をつく。


走る前からお疲れ

  再出発して暫くは登り、汗をかいてしまうと下りで大変なことにたるため、半袖ジャージにアームウォーマー程度の軽装。福島は寒いと聞いていたけど、登りに入る前の市街地はまだ寒くない。風が心地よいくらいだ。

  市街地の標高200mから土湯峠1200mまで、およそ1000mのヒルクライムは、予想通りというか2人からどんどん遅れてしまう。疲れて走り続けることが出来ないのだ。
  「ヒルクライム(レース)のコースに難易度って、全力で登るだけだからどんなコースでも同じでしょ?」そう思っていた自分はもういない。とにかく、ある程度の斜度が続くと足をついて休みたくなってしまう。100m登るごとに休憩してお茶会を提案するも、2人からは完全にスルー。一人休みながら後を追い、頂上へ。流石にピークが近づくとかなり寒くなってきた。気温は8℃。


深夜2時からのダウンヒル

  ある程度の速度で走れるようになってから、ブルベで夜はしっかり寝ることが多くなった。だからこんな、真夜中に峠を登るのは久しぶりな気がする。
  防寒具に抜かりはない。長袖インナーに真冬用のウインドブレークジャージを着込む。あれ、抜かりないと思っていたのにシューズカバーを忘れていたようだ。まあいいか、そこまで寒くないしな。

  3人で峠を下る。皆下りは速いので、安全を考えてドラフティングが効くような車間では走らない。
  それでも後ろからkskの「脚が、脚が」との悲鳴が聞こえる。寒さで脚が動かなくなっているようだ。自分ももう、あまりの寒さによくわからない声を出しながら猪苗代最初のコンビニへ。

  標高は500mにまで下がったのに気温は4℃。手が震えてカップ麺が食べられない。
  少しでも風の少ない所にとコンビニの側面に回り込むと、何か袋状の物体が…エマージェンシーシートかと思ったら輪行袋?
  もう少し下れば気温はもっと上がるはず、なにもこんな一番寒いところで仮眠することは無いのに、たぶんここで限界だったのだろう。中の人が生きていることを願いつつ、会津若松へ。

  コンビニでゴアカッパも着込んだら、今度は温かくなって眠気が出てきてしまった。2人から離れて道端で1,2分目を閉じる。大丈夫、まだこの程度の仮眠で頭はスッキリできる。


夜明けは近い

  会津若松の街並みが見え始めると共に、周りは徐々に明るくなってきた。
  日が昇ってしまえばこっちのものだ。通過チェックのコンビニで休憩していた2人と合流、ksk氏によると次のフォトポイントまでは800mの登りらしい。また登りかよ、とウンザリする3人。ホントに埼玉組はコースの予習をしていない。

  お茶会の開催を要求しながらダラダラと登っていると、後ろから若い3人組が元気に追い抜いていった。どうやらアニメの曲を流しており、名前も知らないので、この後何度も抜かれる彼らのことは便宜上「アニソンの人たち」と呼ぶことになった。


なんとかピークのフォトポイント

  あ、このコース、確か雨だった宇都宮600kmで走った記憶がある。確かこの先また登りがあったはずだ。
  750km地点のPCは宇都宮ということは、ここから宇都宮まではその600と同じコースだろうか。2段目の登りでやっぱり2人から遅れてしまい、


下った後休憩している所で合流

  ここで後ろから会津若松に泊まったタカトリがやってきた。一緒にスタートした奥さんは途中リタイア、一人で残りを走り続けているようだ。一人になった時点で諦めるのでは?なんて思っていたのに、意外にもここまでちゃんと走っている。
  「一緒の時は脚使ってないから元気余ってて」そう言う彼が前を引くことは無い。若者なのに。


登りのピークでジュース休憩

  やはり以前走った宇都宮600kmと同じコースなようだ。ということはこの先暫く補給ポイントは無くなる。前日程ではないが日差しは強く、日焼けした腕が刺されるように痛い。荒れた路面が続く走りにくい下りがしばらく続いて鬼怒川温泉。


日光手前、あと少しで宇都宮

  あれ?宇都宮近くない?
  ksk氏によれば750km地点のPCは宇都宮だから、健康ランドの南大門で焼き肉を食べて寝るとか言っていた。私もそれに乗るつもりだったのに何かがおかしい。PCは?確認すると宇都宮を30kmも過ぎた茂木じゃん!

  相変わらずコースわかってねえなコイツら(自分含む)、茂木のPCに着き、今日の宿泊先をどうするか悩む。
  この辺りは宿泊施設はぜんぜんなかったはずだ。他の参加者から土浦に1時までやっている健康ランドがあると聞いた。たけ、kskの2人はここで土浦のホテルを予約、私は、どうしようかな。できれば今日中にもう少し先に進んでおきたい。タカトリが成田にホテルをとっているとのことで、奥さんの代わりに一緒に泊めて貰おうか。

  薄暗くなった中をタケ動力に引かれる3人。しかしksk氏は珍しくケツの痛みから遅れてしまう。
  私とタカトリは列車のお荷物で遅れても基本そのままなんだけど、たけとkskの間には精神面だけでない深いつながりがあるようで、ときおり停車してksk氏を待つ。

  すると後ろから一人、音楽を流した人がやってきた。
  「アニソンの人だ」私とタカトリは彼を見送るが、何故かここでたけ、彼を引き連れて走り去っていってしまう。残された2人は爆笑、なにやってるのたけさん。
  そんなこんなで土浦へ。やはり疲れは溜まっており、暗くなった今ここから成田まで走るのは厳しく感じた。タカトリは放っておいて、2人と同じ宿に泊まろう。

  このホテル、グリーンコアは自転車は部屋持ち込みでもいいし、会議室で預かってもくれるとのこと。自転車乗りには嬉しい。


日焼けが痛くて風呂どころではない



2017/05/12

BRM503千葉1000km_3:「g」到達

■5/4
  健康ランド「関の湯」の仮眠室は信じられないほど静かだった。
  健康ランド泊のために耳栓をバッグに入れてあったが、耳栓無しでもイビキの音は聞こえてこず、快適に寝れそうだ。

  4時半にマットに転がり、pebbleのアラームを7時半にセット。しかし疲労感があまりに強く、しっかりと眠れない。30分ごとに目覚めてしまい、結局睡眠は2時間ちょっと。そうそう、pebbleによると起床時の心拍が96。きゅうじゅうろく??こんなボロボロの体で今日走れるんだろか。

  準備して外に出ると、もう日は昇っていて寒さは全く感じない。何人かの参加者を目にしながら、ダラダラと次のPCを目指す。と、一人のオッサンローディーが交差点を曲がり、信号待ちをしている私の横に並んだ。

  「どこまで行くんですか?」「えーと福島までだったかな?今ロングライドのイベントやってて」「ああなんか聞いたことあります」「ブルベって言う」「あーそれそれ」そんな事を話しながら一緒に走る。
  「前引かないと」と前に出ようとしてくれたので「あ、ドラフティング禁止なんですよー」と告げると、少し離れて後ろへと戻って行った。本当は後ろを走っても前走者は空力的に有利になってしまうのだが、まあブルベでそれを咎められることは無いだろう。
  2段階右折では「こんなところも信号守らなくちゃいけないんですねえ」、「私は短いレース専門で」なんて話をしながら数km。朝からとっても楽しかったのだけど、あまりにヘロヘロと走るわけにもいかず、結構頑張って走っちゃって無駄に疲労を溜める結果に。


PC到着前におじさんとはお別れ

  止まっていると少し肌寒い。冷やしラーメンを買ったのをいきなり後悔する。震えながら食べると、ラーメンの味がしない。まさか、まだ400km走っていないこの段階で味覚障害だと…


登りに入ると気温は急上昇

  走れない。登りツラい。
  twitterで知り合いの動向を探ると、すぐ後ろからたけさん、kskさんが迫ってきているようだ。この登りの速度ならすぐに追いつかれるだろうから、一緒に走らせて貰おうかな。休まずにひたすら走るウワンさんをパスした後、コンビニで休憩。


なんかもう何食べてもよくわからんし

  だらだらしているとタケ列車到着。強っているたけさんがほぼkskさんを引いて走っている。なんとか2人についていきたいところであるが、時々遅れてしまう。しかしこの2人。


休憩が多い

  止まっているのですぐに追いつくのだ。よかった。ksk氏は走りだしたこの直後、更なるガリガリ君休憩を要求していた。

  今回の1000km、折り返しの先、会津若松に宿をとっている人が多いようだ。GW真っ盛りの今、会津若松には空き宿無し。しかし折り返し地点の福島市街ではまだ宿がとれるらしく、2人と同じホテルを予約する。
  折り返しPCには仮眠所が用意されているし、野宿用シートやマットを持ち運んでいるとはいえ、ホテルでの睡眠に敵う回復は無い。ボロボロの今、できるだけ質の高い睡眠をとらなくては。


「g」到達

  へたれガンダム…皆これを目指して千葉から500km走ってきている。

  PCは平石集会所、地元の方たちがご厚意で貸してくださっているとのこと。去年の岡山1200kmでもこういった集会所を利用した仮眠所があった、地域の人たちと繋がって準備してくれる主催者の方々には本当に頭が下がる。
  岡山でもそうだったけど、こういう所の人たちって我々自転車乗りに結構興味持ってくれるんだよね。施設をビタビタにしてしまう雨でなくて良かった。

  オニギリや豚汁を頂いて(オニギリは大量にあったらしいのでもっと食べればよかったな)、ホテルに移動。
  コースから6kmほど外れた場所にあるらしい。えっ?聞いてないよ、ここまでの500kmで2000km走ったくらい疲れてる私にとって、6kmは24kmに匹敵する長距離、そんなに走らないといけないのか…

  たけさんに連れられてホテルへは17時に到着。先ほどのPCのクローズタイムは21時で貯金は4時間。しかしこの千葉1000km、恐らくこの区間で十分な睡眠がとれるようにとの主催者の計らいで、この後暫くは通過チェックが続き、クローズタイムが設けられたPCは250km先。借金は十分に取り返せるだろうと、23時まで休むことになった。

  17時チェックイン、23時チェックアウト。普通のツーリングで考えれば「明るいうちにもう少し走れるのに勿体ない」と感じる人が多そうだ。しかし去年BAJで予定より早く宿に着き過ぎてこういうサイクルになった結果、夕方から深夜までホテルで寝るのは悪くない、と考えるようになった。
  まず夕方は交通量が多い。それに暗くなってくると疲れた体は眠気を感じ始め、速度も大きく低下してしまう。そうなる前にホテルで休んで深夜の出発。寝起きで体は休まっているため、夜明けまで眠気を感じずに走ることができる。日が昇ってしまえば眠気は去るし、PCのクローズタイムの問題が無ければ、このパターンで走るのは、結構ファストラン向きかもしれない。


液漏れをダクトテープでふさぐ

  尻用に持ってきていたキズパワーパッドを擦過傷に使い切ってしまった。今回、体力的にはボロボロでも意外と尻は無事でよかった。問題なのは落車で傷めた足首。

  力を込めると若干痛みが走るせいで、ヘンにアンクリングしてしまっているのか、アキレス腱に少し痛みを感じ始めていた。アキレス腱周囲炎になってしまうとマズい。あまり負担をかけないように足首の動きを制限したほうがよさそうだ。
  かつてダクトテープをそのまま足に貼った結果「粘着力が強すぎてテープは剥がれなかったけど肉から皮が剥がれた」、という悲劇が起きたため、今回ソックスの上からダクトテープで固めてみる。


なんかアメリカ人ぽい!

  足はソックス内で動くため、固定力は高くない。しかしこのくらいの固定力で丁度いいかもしれない。明日はこれで走ってみよう。
  朝感じていた味覚障害は一時的なものだったようで、少し休んでから食べたコンビニ飯は味がした。この後ゴールまで、胃の不調にはずっと悩まされるんだけどね。


2017/05/08

BRM503千葉1000km_2:10年で一番長い200km

■5/3
  8時に起きて朝食を食べてから、また布団に逆戻り。少しだけ寝た後、会場へと向かう。


出走は80人ほど


応援に来てる人も

  ブルベの知り合いたちと久々に顔を合わせる。いや、顔は飲み会で合わせている、ブルベで顔を合わせるのが久しぶり、か。
  知ってる速い人だと、泉さんと堀さんが第1ウェーブ、近藤さんが私とおなじ第2ウェーブ。泉さんは途中ホテルを予約しているようで、一気に行きそうなのは近藤さんくらい?
  ヨボヨボな今回は、ちょっと趣旨に反するが、省エネで出来るだけ知人の後ろにつかせて貰いたい。とはいえ、彼らについていける体は無い。かといってギリギリ隊の川合、原田家と一緒に走っていては途中で睡眠がとれなくなってピンチだ。スタートするとしばらく前にひであさんが走っているのが見え、頑張って追いかけてそこからは後ろにつかせて頂く。


PC1、思っていたより脚はまわる

  この調子なら完走はできるかもしれない。懸念だった100kmあたりでの失速、吐き気や、頭痛も無い。頭が若干重い気もしたが、走れなくなるほどではないだろう。

  PC1から先はマザー牧場への登り、その後は名もないアップダウンが続くハードな区間。
  ここでひであさんの登りに着いていけずに遅れていく。PC2へはやや遅れて到着も、同時に出発。追い風の平坦な区間をまたずっと引いてもらった。

 といっても、2人は一緒にゴールしようぜ!って間柄で走っているわけじゃない。彼は彼が気持ちいいように走っているだけであり(若干気遣ってくれているとは思うが)、結果力の劣る私が登りで遅れるのは当然のこと。
 少しでも長く千切れないようにするためには、毎回無酸素運動域へ入れるしかなく、いくら平地で楽ができるとはいえこれはちょっとオーバーペースでマズイかもなと感じ始めてきていた。


PC3で近藤さん、泉さんと遭遇

  ほぼ先頭固定で近藤さんたちに追いつくなんて、やっぱりひであさんは相当速くなっていると思う。もういくら調子が良くても私が前をひきつづけるなんてことにはならないんじゃないか。

  しかし長い。走っても走っても、まだ1/5しか進んでいないなんて信じられない。去年岡山1200kmでは400km地点までは一瞬だった記憶がある。ところがここまでの200kmはどうだ、もう休みたい、足をついて止まりたい、走ればそんな感情が真っ先に浮かんでくる。感覚的には1000km近く走っている時の疲労度だ。
  筋トレして重いダンベル挙げれるようになったってのは、数値で一目でわかる。そういったわかりやすさはないが、ロングライドでのストレス耐性というものも、きっと走り続けることで大きく上昇していくのだろう。長いことサボっていた私は、また最初からやりなおしというわけだ。

  信じられない程の疲労感の中、去年と変わらずに走れている点も、ひとつだけあった。
  それはコンビニでの休憩時間。到着してトイレに行き、食べ物をつかんでレジへ。そのままオニギリの一つを口の中に頬張りつつ、残りは背中ポケットや腹に入れてすぐ出発する。これは何の抵抗もなく、以前と同じように行動できた。


  PC3出発間際、「本楽しみにしてます、以前宇都宮600で一緒に走りました」と声をかけられた。名前を聞くと落合さん、これまで何度かエントリーリストで見た記憶がある。こちらは認識しておらずごめんなさい。3人はほぼ似たような位置を走っているが、たぶん落合さんは知らない人にぴったりつくことをしないのだろう、やや間をあけて後ろを走行していた。
  交差点を素早く渡ろうと私がダンシングして加速したちょうどその時に、ひであさんが車の動きを見て減速、タイミングが悪く車輪をハスらせ落車してしまう。

  やってしまった…
  前走者とハスって落車なんて初めてだ。ひであさんの後輪に振れが無かったのは幸いだが、腕と太腿に擦過傷、それから足首を少し捻ってしまった。
  走力が無いためドラフティングの効果を得ようと車間を狭くし過ぎていたのが原因だろう。公道を走るのにあるまじきヘボさ…

  やはりこの疲労感ではもう無理だ。登りでの無酸素運動が続いたためか胃の調子も相当おかしくなっており、270km地点で完全にひであさんから離脱することにした。


とにかく食わなくては

  食べ物が喉を通らない。超ロングライドでカロリー不足は致命傷になりうる、もう少し早いタイミングでペースを落とさなくてはならなかったか。
  そこからは休みながら走行、ひであさんが寄ると言っていた350km地点の健康ランドは1時間遅れ、4時近くなっての到着だった。

  貯金は7時間ちょっと。決して速くはないが、この距離での貯金量としては普通は十分だろう。
  しかしこれは、無理をして手に入れた貯金だ。現に一人になってからの80kmはどんどん速度は落ちており、明日以降も更なる速度低下が考えられる。

  十分あるように見えて、上手く使わないと完走は厳しいかもしれない。まずはこの健康ランドで貯金を切り崩すかどうか、だ。眠気が少し出てきたこともあり、ここは迷わず寄ることにする。出発は、8時。入浴して、睡眠時間は最大でも3時間弱か。それでこの疲れが回復できるだろうか。

  それにしても長い、長い一日だった。


BRM503千葉1000km_1:準備とサイクリング

■5/2
  ついにGWがやってきてしまった…

  ここ数年やっているGWのロングライド、去年夏からの体調不良や執筆での忙しさもあり、全然自転車に乗れていない今年は無計画。滑り込みで千葉1000kmブルベに申し込んだ。

  600kmはおろか、200kmブルベすらも今年は走っていない。実走は4ヶ月で自転車通勤数回のみ、ローラーのAJZwiftは1月に200km完走後は、毎回少し乗ってDNFの繰り返し。
  体重は例年の+10kg、出力は2割落ち、そんな状態のままGW突入。それでも単純に出力体重比だけを見たら、完走できる値は十分あるとは思う。しかし長期休養明けは100km程で完全に脚が止まって走れなくなることが多く、過去フレッシュもこれでリタイアしている。去年夏から続いている、少し走ると後頭部を殴られたように眠くなる症状(貧血?)も不安が残る。こんな「どうなるかわからないブルベ」は久しぶりだ。

  とにかく速度が全く読めない。自分の走力がわからなければ宿泊のプランもたてられないわけで、事前にホテル予約は諦めた。GWでは当日飛び込みでホテル泊も難しいだろう。人気の無い山道でいきなり進めなくなることもあるかもしれない。だから最悪野宿を考えた準備をしなくては。


ダイナパックの中身

・パンク修理セット、携帯工具、タイラップ、ダクトテープ等いつもの工具セット
・胃薬、風邪薬、下痢止め、痛み止め、カフェイン、キズパワーパッド等いつもの薬セット
・乾電池、モバイルバッテリー、Volt300用スペアバッテリー
・耳栓、アイマスク
・半袖ジャージ、インナー、レーパン2セット
・長袖ジャージ、インナー、タイツ
・指切り、長指グローブ
・レインウェア上下、サイクルキャップ、防水グロープ
・マット&寝袋状のレスキューシート
・腰痛バンド

  荷物は全部持って走ればいいや派なのでドロップバッグは無し。マットを持っていくのは今回が初。上半身だけカバーできればいいため、市販されているサイズのものを自分ように小さく切り、ダイナパックに括り付けた。
  休養明けでのロング(というより登坂)は腰痛が発生することが多いため、腰痛用のコルセットも荷物に加えた。

  ホテル宿泊しないとなると途中の充電も期待できないだろう。フロントライトはvolt300を2灯に加えてハブダイナモライトを使用する。
  今の体力で7Watts奪われるのはそこそこ大きいが、バッテリー切れを考えなくていいのがいい。予定出力、120Watts程度で走ることを考えると、(日中も常灯させた場合)1000kmで1時間ほどのタイムロスとなる。


尾灯も変更

  シートステーにつけていたラピッド5をダイナパック後ろに移動し、ファイバーフレアをオムニ3に置き換えた。写真では見えないがシートポストにも尾灯を取り付けている(破損時にシートステーに移し替える)。
  シートステー、クランク、ペダルに再帰反射テープを貼りっぱなしなのはいつも通り。


  千葉1000kmは昼スタート、朝家を出て輪行で向かおうかと思っていたが、妻が実家に帰るついでに皆を見送りにスタート地点に行きたいと、近くのペンションに前泊することになった。前日に館山まで輪行し、そこから千倉までサイクリング。妻とのサイクリングは久しぶりだ。


途中の牧場でヤギと遊ぶ


こっちに興味を示しているのにこれ以上は立ち入り禁止


なんて気持ちよさそうなヤツら


アイスを食べて休憩終了


ペンション到着

  わずか12kmのサイクリング。今の私にはこのくらいがちょうどいいように感じる。明日からはこれの80倍走らなくてはならないのか…


しっかり飲む

  カフェイン断ちや、禁酒といった事前調整?は一切なし。どんな展開のブルベになるのか、完走できるかどうかは見当もつかない。

  ま、なるようになれ、か。