2017/06/26

2016RAWその7:砂漠へのエレベーター

  2016/6/14 日本時間4:33。2度目のRAWがスタートした。

  カメラマンの間を抜け、ビーチ沿いの道を左折し、踏切を超えるとそこからはもうサポートカーとは別ルート。
  ここオーシャンサイドの市街地走行を避け、自転車は川沿いのサイクリングロードを12.5km走る。一般の方も走っている小道であり、この間は前走者の追い抜きが禁止されたパレード区間となる。

  ハンドルにつけたアクションカメラのスイッチを入れ、ブツブツと呟きながらペダルを回した。まだほんの序盤、焦ってはいけないと言い聞かせるも、高まる興奮は抑えられずに前走者に追いついてしまった。うーんちょっと遅すぎないかな、ドラフティングは禁止なため10mほど離れて追走。後ろからも一人追いついてきて、3人が一定間隔を空けてサイクリングロードを走る。
  お、パンクしている参加者がいる……。サポートカーのいないこの区間でのパンクは基本自分で修理しなくてはならない。私も車と合流するまでは予備のタイヤなどを積んで走っている。しかしこんなトコでパンクとはついてないね、屋や向かい風の中、サイクリングロード終端に到着、ここからは思いっきり走れるぞ。

  一般道路への合流地点では参加者が何人か溜まっていた。スタートから25分が経過するまでここでスタッフにより止められるようだ。去年はそんなこと無かったのだけど、今年から変わったのだろうか?なんにせよこれでパレード区間で飛ばす必要は全く無いことになる。いい変更だと思う。
  パンクしてた人が後ろから凄い勢いでやってきて、スタッフと話してすぐ通過、私は数分待った後にスタート。ここからは一般道、信号は多少あるが、日本のブルベのような数では無い。停止線のある交差点ではスタッフが監視の目を光らせているが、赤信号であっても自転車は右折できるため、かなり快適に走り続けることができる。
  ……もっとも広域農道のようなアップダウンが暫くずっと続くのであるが。

  一般道に出てもまだサポートカーとは合流できない。38km地点の合流地点まではレーサーとサポートカーとは別ルートだ。私は眠気に弱いという、こういったエクストリーム系ロングライドでは致命的な弱点があるものの、RAAMはおいといてRAW参加者内では600km以内の速度は上位のレベルではあると思う。そんなわけでアップダウンを繰り返す中、前を走る参加者を次々と追い抜いていく。

  去年はブラジル人のFabioが私と同じくらいの登坂能力で、しかもスタートがすぐ後ろだったため抜きつ抜かれつの展開となった。たぶんこれにより少しオーバーペースになっていたかもしれない。
  今年は競う相手もいずにマイペース。そろそろサポートカーとの合流地点かな、とトランシーバーを意識しているとノイズと共に音声が聞こえだし、直後、最初の合流地点が現れた。トランシーバーの通話範囲短いな、もう少し大型のものを買えば良かったか。


前にスタートしたチーム部門のサポートカー

  最初の合流地点は駐車場となっている、写真のように車を道路に止める場合は白線の外側に1.5m以上のスペースを確保せねばならず、止め方が悪いとペナルティとなる。
  サポートカーといっても常にレーサーの後ろについて走っていい(ダイレクトサポート)のではなく、交通量の多い西海岸、即ちこのRace Across the Westの殆どは、日中は車は先回りで路肩に一旦停止し、車から降りたクルーが手渡しで補給を行うことになる(リープフロッグサポート)。


クルーが車から降りる場合、反射ベストの着用が義務付けられる


最初の補給係はひであさん

  私が止まらずに通過するものと思ってか、走りながらボトルを渡す準備をしていたので「止まる止まる」と叫んで停車。パンク修理セットのツール缶を渡し、新たなボトル2つとフレーム上部の補給食入れ、ジェルを1パック受け取った。

  ここから最初のチェックポイント、TS1:Lake Henshawまではアップダウンを繰り返しながら登りが続く。公式データによれば91.7kmで1967mの獲得標高。いきなり山岳コース並みの厳しさだ。海岸から離れるにつれ、空の色はどんどん青くなり、日差しは凶悪さを増していく。


その後の補給は停車せずに

  我々のチームはリープフロッグの回数が少ない!やはり去年と同じように、走りながら他のチームを見るとそう感じる。去年はそれで適切な補給を受け取ることができずに文句を言ったが、サポートカーが止まれる場所は白線の外側にスペースがある場所だけと限られており、そういった場所は他のチームとの取り合いとなってなかなか停車場所が無いそうだ。


車を止めて、降りてすぐ準備してと、クルーも大変

  今回は去年と比べると暑くない。気温はまだ35℃程度、これなら頻繁にドリンクを受け取らなくても大丈夫と、停車間隔に対して強く要求することはなかったけど、荒れた路面の下りでボトルを落としてしまった後は少しヤバかった。RAW/RAAMでは安全のため、自転車がコースを逆走(反対車線に渡っても)することは禁止されており取りに戻れないのだ。ボトル落としてごめんなさい。

  それに登りでは、同じ距離であっても時間は長くかかることになり、車からではその辺りの感覚を把握しづらい。「サポートカーの停車間隔が長い」は私の気のせいかなと、後日他のRAAMチームとのタイムラプス画像を比べてみたところ、我々チームが8回、他のチームは20回(10回/時ペース)だった。停車回数が増えるほどクルーの負担は増すためどのくらいが適切なのかはもっとよく考えねばならない。次回以降の課題にしよう。


情緒が無い

  アメリカに住んでいた加藤さんが「アメリカ人はとにかく真っ直ぐに道をつくって登り下りに情緒が無い」と言っていたのを思い出す。ただ直線で通しただけの頭の悪い道であると。アメリカ人に恨みは無くとも「頭ワリー」と叫びながら、ひたすら続くアップダウンを走る。自転車でそんな道を走るほうがよっぽど頭悪いのであるが。

■TS1:Lake Henshaw(91.7km)


最初のチェックポイントでくつろぐクルー

  経過時間は3:22。グロス平均速度は27.2km。ハードな登りと、序盤のパレード区間を考えたらタイムは上々。去年は3:18と去年より4分「抑えられている」のも悪くない。
  このRAW/RAAMのチェックポイント、なんとチェック方式は「電話」だ。クルーが本部に電話で時間を伝えることで通過確認となる。レーサーは停車する必要は無い。

  湖を越えたあとは400mほど登り、標高1200mのピークを越えると海抜0mまで一気に下る。ついに砂漠とのご対面だ。


大きな左カーブの先には


絶望が広がっている

  グラス・エレベーターと称されるこの下りは、過去何度か大きな事故が発生している。道幅は広くカーブもきつくないものの、下界から吹き上げてくる熱風が強烈だ。路面、特に端の舗装状態は快適とはいえず、ひび割れにタイヤを取られたり、パンクでもしたら一大事となる。


  既にバッテリー切れで停止していたアクションカメラのスイッチを入れたら、少しだけ撮影できた。しかし砂漠が目の前に広がるのはこの直後…もう少し動画撮りたかったな。

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